ケーキもお笑いも効かない夜

最近、休みを渇望しながらもいざとなると土日がくるのが憂鬱に感じるようになってきた。土日が終わったら月曜日だと思うと恐怖だし、この二日間で身体をなんとか休めようとはしているけど、心の休め方が分からないままで休みの間もずっと気を張っていてキツい。

せっかくの休みなんだからなにかやらないと、と体調悪いのを無理して市内のイオンに初めて行ってみたけれど、やっぱりここでも迷子のような気持ちになってしまう。ずっと泣きそうな顔をしている自覚があるけど、実際には泣けないし泣かない。大人なので。声を上げて泣けたら楽なのにな、とフードコートで泣き叫ぶ見知らぬ子どもを見て思う。kindleで「スキップとローファー」一巻を読む。土地の記憶は人の記憶だという、主人公のモノローグが痛いくらいに刺さる。好きになれるだろうか。

 

2ヶ月経っていないながらも仕事はかなり頑張っているし、面白いかはさておき多分私に向いていると思う。大したことは出来ないなりに、残業すればするほど同部署の人たちとは仲良くなれると思って、毎日出来る限りの残業をしている。本当は早く帰りたいし先輩たちにももっと早く帰って欲しいけど、現状それが難しいことはここ数日で理解出来るようになった。これもまた成長。毎日残業するようになってしばらくはこの仕事の終わりの見えなさに絶望したけど、どうやらこの状態はそう長くは続かないらしい。5月には一旦落ち着くと聞いて、それなら少し頑張ってみようと思える。

春とホームシック

引っ越して1ヶ月が経った。

仕事にも少しずつ慣れてきて、自分の仕事がどういうものなのかなんとなく理解出来てきた。体温のないものを相手に、決められたミッションをひたすらクリアしていくことの何が面白いのかはまだ全然!全く!分からないけど、そもそも仕事に面白さを求めるのが間違いなのかもしれないなと思い始めている。そう考えると、これまで自分が就いてきた仕事は「すぐそこに相手がいて」「尚且つ成果が分かりやすく」「変化に富んでおり」「飽きない」人間相手の仕事をずっと選んできたことに気付く。基本的にやりたいことや興味があることじゃないと頑張れないと思って選んできた仕事だけど、自分って意外と人間が好きなのかもしれない。今の仕事に面白さが見出せていないので、この会社で働く人たちがどういう理由でこの会社を選び、何が楽しくて毎日仕事をしているのかが気になる。いつか聞いてみたい。

たくさんの人間が働くオフィスだけど、まだ自分の居場所を見つけられていない。所在なく迷子のような気持ちになり、胃薬のお世話になることも増えた。同じ部署の人たちとは、今のところ大きな問題もなくやっていけていると思うけれど、みんな陽キャで根本的にノリが合わない。こればっかりはどうしようもないのでとりあえずニコニコしてその場をやり過ごしているが、これが毎日となるとなかなかにしんどい。関係性がよく分からないけれど、他の部署の陰キャな男性を見下しているような様子も窺える。やだな。

陽キャってなんであんなに感情の上がり下がりが激しいんだろう。なんであんなに不機嫌を隠さないことが当たり前のように接してくるんだろう。それに気を揉んでいるこちらが馬鹿みたいだ。

 

少し早く帰れた日の夕闇迫る帰り道、疲れきって視線を落とした土手にぽつぽつとつくしが生えていることに気付いた。懐かしい姿に「わ!」と思わず声を上げてしまって、あわてて周りを見回した。会社の人がいないことを確認して、そっとしゃがんで摘みとった。手元にすっと真っ直ぐ伸びたつくし。春だ。つくしを摘むなんて何十年ぶりだろう。小学生の頃は毎日大量のつくしを摘んで帰るのが日課だったことを思い出す。さっきまであんなに沈んでいたのが嘘みたいに、誰もいない土手ではしゃいだ。上から見ると見つからないのに視線を落として横から見ると生えてるのがよく分かるんだよなあ!って大きめの独り言だって出てしまう。

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あの頃ほどは採れなかったけど、帰ってつくしの胡麻和えを作った。一人だから十分な量だ。子供の頃は頭にぎっしり花粉?が詰まったやつが苦くて苦手で、開ききった頭のやつばっかり食べてたっけ。今はどっちも食べられるけどやっぱり頭が開いたやつが好きかも。

 

引っ越してきてから、人様の車のナンバープレートを眺めるようになった。隣県なのにまだ地元のナンバープレートは見ていないのが更に寂しさを加速させている気はするが、同じマンションで「福岡」と「京都」を見かけて、思わず「お前らもか」という気持ちになっている。がんばろうな。私にお金があったら地元ナンバーの車をもう一台買って、近くの駐車場に停めておきたいくらいにはホームシックだ。

 

がんばりやさんはもうがんばれない

日記を書きながら寝てしまう。息をするのに必死。

やたらとGoogleマップに狭い道を案内される。家から職場への最短ルートは住宅街の中を走る細道らしい。地元民ではないので案内されるがまま、ただ指示に従って細道をひたすら走り抜けている。細道が故に、めぼしいお店がないのが悩みなのだけど、この道しか知らないのだ。

行きは最短ルートで良いとして、帰りは別に最短ルートを通らなくても良いのでは?とようやく気付いた勤務3日目。Googleマップ様のお導きを無視して、大通りへと車を進めると私が探し求めていた普通のスーパーが現れる。なんだよ!いるじゃん!

意気揚々と買い物カゴをつかみ、思う存分店内を行ったり来たりした。浮かれて店内BGMで踊ったり、地元のスーパーでいつも食べてた食材を見かけてキャー!ってなった。

楽しい。

楽しくて、たくさん買い込んだ。この町にも楽しいスーパーはあることを知れて、少し、この町の好感度が上がった。

引っ越してきてからどうも歯が痛い。じわじわと痛みが強くなっていて、今はものを食べようとしても痛くて噛めないくらいの痛みになってしまっている。過去にもなんどか同じようなことがあったので分かるのだけど、私はどうも慣れない環境に置かれると歯に影響が出るタイプのようで。ストレスさえ緩和されれば痛くなくなるので、環境に慣れるまでの辛抱だ。

仕事はとにかく覚えることが多い。勤務4日目で大したことなど出来るわけがないのだけど、あまりにも周りが忙しそうで、定時で帰らせてもらうのが申し訳ない気持ち。でも残業はしたくない。おうち最高。

これまで経験してきた仕事の中でもぶっちぎりの地味さを誇るけど、会社の大きさがこれまでで一番の規模なので、ミスった時の深刻さはこれまでの比じゃなさそう。まだなんっにもしてないのに、もうすでにミスった時のことを考えて胃を痛めるのやめたい。

今日もスーパーに寄る。楽しく買い物を終えて、トイレに寄って帰る。しばらく車を走らせてから、携帯をトイレに忘れたことに気付いて半泣きで戻る。奇跡的に店員さんが預かってくれていて事なきを得たけれど、ここにきて月曜からの疲れがどっと押し寄せてきた。

なんだか本格的に泣けてくる。歯はずっと痛いし。ストレスでいつもより早く生理きたし。まだ何の役にも立ててないし。ひとりでさみしいし。朝早いし。教育係の人しんどいし。インターネットまだ使えないし。毎日寒いし。会社の駐車場遠いし。この方言聞いてたら嫌な思い出思い出したし。

なんだかぺしゃんこになりそうだったので、隣の薬局でEVEを買って帰る。せめて歯だけでも救ってあげたいし。

初日!

20日ぶりの労働!

…の話をする前に、前日に陥ったアクシデントの記録を残しておきたい。

緊張を解すために湯船にお湯をためて、ゆっくり浸かって、心も体もほくほくの状態で寝ようとしたのが夜23:30。歯磨きも済ませて、居室に入ろうとした時、扉が動かないことに気付く。

「……段ボールだ!」

荷解きをして大量に出た段ボールを後日捨てに行こうと、部屋の端に寄せておいたのだけれど……なんとなく扉と棚の間に出来た隙間にぎゅうぎゅうに詰め込んでいた事を思い出す。「扉を完全に閉めると段ボールが壁にもたれかかって扉が開かなくなるなぁ、気をつけないとなぁ」なんて思っていた矢先に、やってしまった。

 

強めに押しても扉はビクともしない。

扉を外そうとしても吊り戸だからか私の力では全く外れない。

壁と扉の微妙な隙間にキッチンの様々なアイテム(まな板・菜箸・包丁・網)などを差し込んで見るも段ボールは動かない。

ちょっと待って 詰んだ…?

 

さっきまでほかほかだった体が急激に冷めていくのに、額からは変な汗が吹き出す。動悸が激しくなる。世界仰天ニュースでなんかこんな映像見た気がするなぁと現実逃避したり、助けを呼ぶとしたら警察?JAF?お父さん?とか考えている間に携帯の充電が5%まで減ってしまい、いよいよパニックになる。死にはしないけど社会的な死の気配を感じる。

 

……結果的には。ありったけの力で無理矢理扉を開いたら、その反動で段ボールがぐにゃりと曲がって、コインゲームのように棚が押し出された。少しの隙間に体を捩じ込んで…なんとか無事に入ることが出来た。ホッとしてちょっと泣いて、慌てて布団に潜り込んだ。時すでに1:00。こんなつもりじゃなかった!と思いながらも急いで目を閉じた。緊張で2時間ごとに目を覚ますとも知らずに。

 

初出勤は朝からすでに疲れきっていた。

職場の人たちは今のところ皆さん優しそう。仕事内容は分かったような、分からないような。はやく分からせられたい。

 

 

スーパーは楽しい場所であってくれ

内見もしないで選んだ部屋は、思いのほか居心地がよい。これまで住んできた一人暮らしの部屋は二階建ての小さなアパートばかりだったから、遠くまで見渡せるこの部屋がとても新鮮だ。

このマンションはBSが見れると知って、早速BSよしもとにチャンネルを合わせる。付けた途端に元気のいい「か!ら!あ!げ!4!」の声が聞こえて、思わずにっこり。いつの配信のものか分からないけど、二人して楽しそうで少し元気が出た。

雨があがっていたので、歩いて5分の聞いたことない名前のスーパーへ。入って早々カゴがないことに混乱するも、「ここはカートに直接買うものを投げ込むらしい」と周りのお客さんを見て察知する。カートを押しながら並んでいる商品を眺めるけど、カートが必須なせいで小回りが利かない。棚も購買意欲をそそらない配置だし、買い物のしにくさに思わず挙動不審になる。なんだここは。カートがやたらと背が高くゴツいため、そもそも日本人サイズじゃないように見える。なんだか見知らぬ街を飛び越えて、聞いたことない国のスーパーマーケットに来てしまったような、なんとも言えない不安な気持ちが押し寄せてくる。

ああ、おらがの国のマックスバリュが恋しい。ここのスーパーはよっぽど必要に迫られない限り使わなくてすむように、職場から家までの間で推しスーパーを見つけようと誓う。

段ボールから何とか全て荷物を出し終えて、明日からいよいよ就業だ。まず会社まで間違わずに行けるのか、何分前に出れば間に合うのか、今から不安で死んでしまいそう。

とにかく一日ちゃんと会社にいられたら100点ってことで。どうかひとつ。

 

見失っても人生はつづく

このたび地元を離れることになったので、ブログをはじめました。3年ぶり、3度目。

 

ひとりになって7年たちます。

ひとりであるのをいいことに、根無し草スタイルをやめられない。いい加減落ち着きたいけど、これが性分なのだろうなあと思うし なんとも。

すぐに忘れてしまうから、せめて知らない街での日々の暮らしでも覚えておこうじゃないかと思ったり。

 

実家での最後の夜。

やたらに重い布団に包まれて、今日くらいはいい夢を見ましょうか。